【初心者向け】いつもの料理写真が垢抜ける!身近なモノでつくる『背景』簡単スタイリング術
食をアートとして表現するためのテクニックやツールの使い方をご紹介する「食表現テクニックラボ」です。
せっかく美味しくできた料理。写真に撮って思い出に残したり、誰かに見てもらったりする機会も多いのではないでしょうか。しかし、「なんだか写真がパッとしない」「生活感が写り込んでしまう」といったお悩みを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
料理写真の印象を大きく左右するのが「背景」です。プロの料理写真では、専用の背景紙を使ったり、計算された空間で撮影したりしていますが、私たちの日々の食卓ではそうもいきません。
ご安心ください。実は、特別な道具がなくても、身近にある場所やモノを少し工夫するだけで、料理写真をぐっと魅力的にする背景を作ることができるのです。
この記事では、いつもの料理写真が垢抜ける、簡単で実践的な背景スタイリングのテクニックをステップ形式でご紹介します。
ステップ1:光を意識して「場所」を選ぶ
まずは、写真を撮る場所を選びましょう。料理写真を魅力的に見せる上で最も大切な要素の一つは「光」です。自然光が入る場所を選ぶのがおすすめです。
窓の近くなど、外からの光が差し込む場所を探してみてください。直射日光ではなく、レースのカーテン越しや、曇りの日の柔らかい光が適しています。光の向きは、料理の斜め横や後ろから当たるようにすると、立体感や影が生まれ、より美味しそうに見えやすくなります。
場所を選ぶ際は、同時に「背景として写り込む可能性のある範囲」も確認しておきましょう。
ステップ2:生活感をなくし「シンプル」にする
写真に生活感が写り込んでしまうと、せっかくの料理が引き立ちません。撮影場所を決めたら、まずはその周辺を整理整頓しましょう。
- 写り込んではいけないもの: コンセント、コード、ティッシュ箱、リモコン、関係のない書類など、料理や食卓と関連性のないものは写らないように移動させます。
- 背景をシンプルに: 後ろにごちゃごちゃしたものが写らないよう、壁の近くを利用したり、これからご紹介する布などで隠したりすることを検討しましょう。
背景をシンプルにすることで、被写体である料理に自然と目が向くようになります。
ステップ3:身近なモノを「背景」として活用する
さあ、いよいよ身近なモノを背景として活用する段階です。特別な背景ボードがなくても、自宅にある様々なモノが素敵な背景になり得ます。
- 自宅の壁や床: 無地の壁や、質感のある木目の床、タイルの床などは、それ自体がシンプルな背景になります。特に、古材風やコンクリート風の床は、カフェのような雰囲気を演出できます。
- テーブル: 普段使っているダイニングテーブルやローテーブルの天板も、立派な背景です。木材、石、ガラスなど、テーブルの素材感を活かしてみましょう。使い込んだ木のテーブルなどは、温かみやストーリーを醸し出してくれます。
- 布類: ランチョンマット、テーブルクロスはもちろん、使っていないシーツ、カーテン、ストールなども背景に使えます。リネン素材はナチュラルな雰囲気に、柄物ならアクセントに、無地の布はシンプルで上品な印象になります。布のシワをあえて活かしたり、ピンと張ったりと、使い方で様々な表現ができます。
- 紙類: 画用紙、クラフト紙、ラッピングペーパーなども手軽な背景材です。白やグレーの画用紙は料理の色を引き立てるのに便利です。木目調や石目調のラッピングペーパーを使えば、簡単に雰囲気のある背景が作れます。A3などの大きめサイズがあると、料理を置いても余裕ができて使いやすいでしょう。
- その他: 古い木材の板、おしゃれなトレイ、アンティーク風の雑誌や本のページを開いて置くなど、テクスチャや雰囲気のある小物を敷くのも良いでしょう。
これらのモノを、料理を置くテーブルや床の上に敷いたり、壁のように立てかけたりして背景として活用します。
ステップ4:簡単な「即席背景」を作る工夫
もう少しだけ背景にこだわりたい、でも専用品は買いたくない、という方のために、簡単な即席背景の作り方もご紹介します。
- 簡易背景ボード: 厚紙や段ボールを用意し、その表面に好みの布やラッピングペーパーを貼るだけで、持ち運び可能な背景ボードが完成します。裏表で違う素材を貼っておくと、使い分けができて便利です。
- 壁に貼る: 大きめの布や紙を壁にマスキングテープなどで仮止めし、その前で撮影する方法です。広い範囲を背景にしたい場合に有効です。壁に傷をつけないよう、テープの種類には注意しましょう。
応用編:背景の色選びのコツ
背景の色は、料理の印象を大きく左右します。料理をより美味しそうに見せるためには、背景色にも少し意識を向けてみましょう。
- 料理の色を引き立てる: 例えば、赤やオレンジ色の料理(トマトソース、ニンジン料理など)には、補色に近いグリーン系の背景が映えます。また、料理の色と同系色や、彩度の低いニュートラルカラー(白、グレー、ベージュ、茶色)は、料理の色を邪魔せず、上品にまとめることができます。
- 避けるべき色: 料理の色と全く同じ色や、料理以上に主張が激しい蛍光色などは、料理が背景に埋もれてしまったり、見た目のバランスが悪くなったりすることがあります。
統一感のある食卓全体のスタイリングを意識すると、背景選びもより楽しくなります。
まとめ
いつもの料理写真をワンランクアップさせる背景スタイリングは、特別な道具や高度な技術は必要ありません。自宅にある「光」が入る場所、「壁」「床」「テーブル」「布」「紙」といった身近なモノを少し工夫するだけで、見違えるような背景を作り出すことができます。
まずは、窓際で、手持ちのランチョンマットやシンプルな壁を背景に試してみてはいかがでしょうか。背景を意識することで、料理をどんな雰囲気で見せたいか、という表現の幅が広がり、写真撮影がもっと楽しくなるはずです。
ぜひ、今回のテクニックを活用して、日々の食卓や料理写真をさらに魅力的にしてみてください。